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ピアニスト水上裕子 エッセイ

奄美の煮物

 「これは、奄美のお正月料理ですよ」と、出された煮物。

 九州のお正月料理、筑前煮と見かけは良く似ていたけど

 鶏肉ではなく、何と骨付き豚肉が入っていた。

 その豚肉はトロトロでとってもおいしい。

 シイタケと思って口に入れた黒い食べ物は、きくらげだった。

 それに奄美名物の「油そうめん」もビーフンを思わせる。

 やっぱり中国文化に近いよね。 

 日本は小さな島国なのに、見たこともないようなお料理や食材を

 旅先で見かけることが、しばしば。

 山形では、菊の花びらを食べたし、生まれて初めて見る

 魚もいっぱいだった。

 栃木で「かんぴょうはお好きですか?」と訊かれ、驚いた。

 私にとって、かんぴょうは好きとか嫌いとか答える食べ物

 ではなく、よける食べものだった。

 太巻き以外でかんぴょうにお目にかかることはない。

 ふっくら甘い玉子焼きにふくよかなお酢のきいたご飯、

 香ばしい焼き海苔のコンビネーションの中に突如、現れる
  
 ストロングな濃い、ガングロかんぴょう。これをよけて

 食べるのは当たり前。それを好きか嫌いかと聞かれ、

 困惑していたら、堂々たる大皿にかんぴょうが盛られ

 テーブルのど真ん中に出てきた。

 目が飛び出しそうになった。

 しかし、そのかんぴょうの美味しかったこと!

 その日からかんぴょうは私の大好物になった。
 
 山梨出身の友人が、麦茶に砂糖を入れて飲んでたのを見た時は

 バットで殴られたような衝撃だった。

 ドイツやルーマニアのすみずみを回っても、見たこともない様な

 料理が次々出てくることなんて絶対ありえない。

 日本って不思議。