記事一覧

ピアニスト水上裕子 エッセイ

家族ネタ

講演やエッセイなど話題がつきると、家族ネタに走る。

家族のことだったら何を言おうが罪はない。

子どもたちは未成年だから私の職場に足を踏み入れないし、夫は日本語がわからないし、母は天国だ。

だから私は言いたい放題なのである。

母はよく私の話が面白いと言って、涙をながすほど笑ったものだった。

オーストラリアに来たときはお土産に、母の初の海外旅行を4コマ漫画にして書き綴ったものをあげたら母は泣き出した。
いや、泣き出したと思ったら、笑いすぎて涙があふれたのであった。


あんなに似顔絵もそっくりで、おかしく描かれてイヤじゃないのかなと思ったら、何と母は日本に帰り、それをコピーして、綴じて小冊子にして同僚に「おみやげです」と言って配ってまわったのだ。

皆さんありがたくも涙を流して笑って下さったそう・・・。


やがて、その私にライバルが登場。

長女の沙羅だ。

彼女は踊れるので、より、芸が立体的。

母がダンスのパートナー、酒井さんと社交ダンスの発表会に出た様子を小学校3年生の時に「ひとり社交ダンス」と称して、母と酒井さんの踊り、そしてすぐにスポットから消されるさまを見事に真似た。

母は笑い転げ、立ち上がれなくなり私と酒井さんで両脇を抱きかかえ歩かせた。


講演会ではよく母の話をして笑いをとった。

こっそり、会場に私を見に来た母は、会場全体が自分のことで大笑いしてるのを見て、いてもたってもいられなくなり、思わず「それは私じゃない!」と、叫んで会場をあとにしたそうだ。

本当に母とは、いっぱい笑った。いっぱい叱られもしたけどネ。

今も、どんな状況でも、はたから見ると笑えないときでも何故か周りは笑いでいっぱいだ。

隣にいる(いるであろう)母に話しかける。

「どう?今日も面白かった?」
「ほんと、あんたといるとヒヤヒヤするけど永遠に退屈せんね」 

今日も笑ってくれてる気がする。

                                     END
                                                Hiroko